さて今回はFZ1 FAZERのチェーンとスプロケットを交換したので、まずはスプロケットの交換方法を解説していきます。
普通はチェーンとスプロケット交換はセットで行いますが、分量の関係上それぞれ別記事で解説していきます。
チェーン交換のやり方はこちら:
必要なもの
まずはスプロケット交換に必要なものからです。
工具については基本的な工具は揃っている前提で、あると便利なものや必須なもののみピックアップしています。
トルクレンチ:言わずもがな
まずはトルクレンチから。
これはもうどの整備でも毎回紹介しているので言わずもがなという感じですが、やはり大事なので毎回紹介します笑。
スプロケットは走行中高速で回転する部品ですので、万が一にでも外れたらかなり危険です。
しっかりとトルク管理は行いましょう。
スプロケット交換では、FZ1の場合100Nm前後の高トルクで締められている箇所が多いので、その範囲を対応しているものを用意するといいでしょう。
どうしても用意できないのであれば、メガネレンチを使用してください。サイズに応じてだいたい適切なトルクがかけられるようなハンドルの長さになっています。ラチェットレンチでの締め付けは絶対にNG。
スピンナーハンドル:大きいトルクが掛かってる箇所が多いのであると便利です
高トルクで締められているボルトが多いので、ロングタイプのスピンナーハンドルがあると便利です。
緩めるの専用です。
新しいスプロケット:迷ったらサンスターがおすすめ!サイズ・丁数もまずは純正で
スプロケット交換なので新しいスプロケットが必要です。
今回はサンスターのスプロケットにしました。
サンスターはスプロケットで世界トップシェアを誇る国産ブランド、特にこだわりがないならサンスターで問題ないでしょう。
丁数、サイズについてはわからないなら純正に合わすようにしてください。
ちなみに、サンスター公式にある適合検索で純正の丁数やチェーンサイズやリンク数を調べることができます。
サンスターのスプロケットを選ぶ場合、ここで品番も確認することができるので、あとはその品番で純正の丁数に合わせたものを選べば問題ないでしょう。
ちなみにリアスプロケットの材質についてはアルミとスチールがありますが、軽量なのはアルミですが減りもスチールに比べて一般的には早いです。(参考までに、サンスター公式における耐久性は、アルミは~20,000km、スチールは~40,000kmとなっています)
今回はチェーンカスタム的な意味合いもあったので、せっかくなのでアルミのほうにしておきました。
丁数については自分のバイクに取り付けられているスプロケットにも記載されていると思われるのでそちらを確認してもいいでしょう。
こちらはリアですがフロントも同様に記載されています。
消耗品類の交換(ロックワッシャー・Oリング・ハブダンパーなど):バイクや状態に合わせて用意してください
必要があれば消耗品の交換も行ってください。
フロントスプロケットについては、バイクによって固定方法がことなりますがFZ1の場合はロックワッシャーで固定されており、こちらは新品に交換する必要があります。
ロックワッシャー以外にはOリングが付いているタイプもあり、こちらも新品に交換するようにしてください。
リアスプロケットがとりつけられているハブ部分には、ハブダンパーという衝撃吸収用のダンパーが入っていますが、こちらも消耗品なので必要があれば交換してください。
後で同じ内容がまた出てきますが、ハブダンパーの点検方法は
- スプロケットを回転方向に手で動かしたときにガタがあれば完全に終わっており交換時期
- 垂直に引っ張ったときに、抵抗が無く簡単に抜けるようであればヘタリはじめている
という具合です。
スプロケット交換自体頻繁にするものではないので、ダンパーも合わせて交換しておくのがいいかもしれませんね。
カスタム虎の穴2 タイヤ・チェーン編
チェーンの基礎知識や注意点などをマンガで学ぶことができます。
できれば購入しておいてほしいところです。
リアスプロケット(ドリブンスプロケット)の交換方法
というわけで交換作業に入っていきます。
リアホイールの取り外しについてはこの記事では省略させていただきますが、過去に執筆したスイングアームのピボットシャフトのグリスアップの記事ではホイールの取り外し部分まで詳しく解説しているので合わせてそちらも確認してください。
リアホイールの取り外し、先にナットを緩めておくのもおすすめ
ホイールの取り外しを行うので、チェーンアジャスターは緩めておくのがいいでしょう。
スプロケットは高トルクで締め付けられているので、ホイールを車体から取り外す前に軽く緩めておくのもおすすめです。
この場合、ギアをローに入れてサイドスタンドをでバイクを立てて緩めてください。
最終的にホイールを外すのでその際にジャッキをかけますが、ジャッキをかけてリアホイールが浮いた状態で高トルクをかけるとバランスを崩してバイクが倒れることもあるので絶対そのようなことはしないでください。
二人いる場合は、一人にリアブレーキをしっかり踏んでもらうことでホイールが回転するのを防ぎ作業性が上がります。
後述しますが、フロントスプロケットも高トルクでしまっているので不安ならばリアホイールがついた状態で、リアブレーキをかけながら先に緩めておくのもおすすめです。
リアスプロケットの交換:ボルトを締める順番に注意
ホイールを取り外したらリアスプロケットを交換していきます。
ブレーキディスクは非常に歪みやすいので、タイヤは地面に寝かさず壁に立てかけるようにするのがいいでしょう。
スプロケットを外すとハブ部分が見えます。
新しいリアスプロケットを取り付けますが、このときボルトを締める順番は画像のように対角線上に締めていくようにしてください。
また、いきなり規定トルクで本締めするのではなく、対角線上に少しずつ締めていくというのを繰り返し、最後に本締めするようにしてください。
参考までに、FZ1の場合このハブボルトの規定トルクは100Nmとなっています。
締めるときはタイヤを立て壁に当たるようにしタイヤが回らないようにするのがおすすめです。
ハブダンパーの点検、必要があれば交換
スプロケットがついた状態でハブを垂直に引っ張るとハブ部分が抜けハブダンパーを確認することができます。
ハブダンパーは消耗品なのでヘタっている場合は新品に交換するようにしましょう。
チェック方法は、
- スプロケットを回転方向に手で動かしたときにガタがあれば完全に終わっており交換時期
- 垂直に引っ張ったときに、抵抗が無く簡単に抜けるようであればヘタリはじめている
という具合です。
今回ガタはありませんでしたが、簡単に抜けたので新品に交換しておきました。
ハブを外すとハブダンパーが顔をだします。
ハブダンパーを外した状態。
新品のハブダンパーに交換しハブを取り付けるとき、ゴムであることとクリアランスがほぼ無いことからかなりきつく入りづらいと思いますので、その場合はラバーグリス(シリコングリスでも可)を薄く塗ってあげることでスムーズにハブを入れることができます。
リアスプロケットの交換はここまでになりますが、フロントスプロケットはリアホイールが外れた状態でないと行えないので、ホイールの取付はフロントスプロケットの交換後にしてください。
フロントスプロケット(ドライブスプロケット)の交換方法
次はフロントスプロケットの交換に入ります。
フロントスプロケット周りで作業の邪魔になりそうなものは全て外してください(シフトペダルなど)。
泥とチェーンルブがこべりついている
フロントスプロケットカバーを外すとかなり汚れていますね。
普段カバーに隠れており目にする機会が少ない場所なので、こういうタイミングで清掃しておくといいでしょう。
割り箸などで大きな汚れを落とし、最後にパーツクリーナーで清掃してください。
フロントスプロケットです。
ロックワッシャーでナットが固定されているので、
ロックワッシャーの爪部分を開き、ナットを外します。
ナットは、ギアはリアスプロケットのとき同様にローに入れた状態でしっかり工具をかけた後一気に力を入れればちゃんと外れます。
ゆっくり力を入れると、力に合わせてエンジンも一緒に回ってしまうので注意です。
リアスプロケットの時同様、二人いるならばリアブレーキをかけてもらうことでエンジンが回るのを防止することができます。
フロントスプロケットを取り外しました。
スプロケットを外す時、チェーンを緩めないと外れないのでリアホイールは外れた状態である必要があります。
新しいスプロケットに交換し、
ナットを規定トルクで締め、ロックワッシャーの爪を起こしてフロントスプロケットの交換が終了です。
参考までに、FZ1の場合は85Nmとなっています。
最後にリアホイールを取り付けスプロケットの交換は終了です。
チェーン交換をそのままする場合はこちら:
参考:新品と古いスプロケットを比較する
今回スプロケットを交換した車両は走行距離49,000kmで初交換です。
チェーンの推奨交換頻度は、純正のスチールならば40,000km程度ですので若干過走行気味になりますかね。
ちなみに、スプロケットの減りについては、フロントスプロケットの方が硬い材質が使われているので、普通はリアスプロケットのほうが減りは早いです。
ざくっとですが、今回の交換ではそこまで著しい減りは感じられませんでしたが、今回リアはアルミに変えたので交換頻度としては次回は短くなるでしょう。
フロントスプロケットの比較
左が純正、右がサンスターのものです。
純正の方はチェーンガイドがついています。左右に厚みがあるのがそれです。
リプレイスのものはチェーンガイドはありません。
減りはあんまりわかりませんが、気持ち尖っているような気もします。
重ねて見ると、若干減っているような気もしますが、結構減っているようにも見えます。正直わかりません笑。
写真で見る場合、少しでも角度がつくと減っているように見えるため、比較するのは真上から撮った真正面のもののみ見ましょう。
リアスプロケットの比較
次はリアです。リアスプロケットは純正もサンスター製でした。
リアは汚れが結構ひどいですね。
気持ち尖っているような・・・
重ねてみました。
こちらも気持ち減っているように見えますが、結構減っているのかもしれません、、、笑。
スプロケットは表面の硬化層が終わった後のほうが減りが早い
スプロケットの表面には摩耗を抑えるために硬度を上げる表面処理がされています(硬化層)。
この層が終わった後、摩耗するスピードが早くなるので、表面が削れているならばその後の点検はしっかりする必要があります。
尚、硬化層は0.3mm~0.9mm程度だそうです。
リアスプロケットについては、純正はおそらくスチール製で、今回新しく交換したものはアルミ製になっているので、減りについてはこれまで以上にしっかりチェックする必要がありあそうです。
まとめ
というわけでスプロケットの交換でした。
万が一ボルトが外れたら非常に危険ですので、トルク管理だけは丁寧に行うようにしてください。
チェーン交換をそのままする場合はこちら:
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