ブレーキ周りを整備するときにグリスを使いますが、場所によって適したグリスが異なるため、今回はそのグリスの紹介です。
キャリパーのピストンに塗るのはラバーグリス
キャリパー清掃後に、ピストンに塗るのはラバーグリスです。
ピストンは、ゴム製のピストンシールでブレーキフルードが漏れないよう密閉されています。
このゴムを傷めない素材のグリスを使用する必要があります。
ブレーキ用ラバーグリスが販売されているので、こちらを使用すれば問題ありません。
参考に私の手元にあるワコーズの説明を以下に紹介しておきます。
名称:自動車用ブレーキ用非鉱油系ラバー潤滑剤
用途:ホイールシリンダーのカップやブーツ・ピストンシール・マスターシリンダーのゴムカップ等の、ゴム部分の潤滑と組み付け
成分:ポリアルキレングリコール・リチウム石鹸・潤滑油添加剤
シリコングリスでもOK
シリコングリスはゴムや樹脂を傷めないという特徴をもっているため、ラバーグリスの代わりに使用することが可能です。
が、特にこだわりが無ければ基本的にブレーキ用として販売されているラバーグリスを使用するのが良いでしょう。
参考に私の手元にあるデイトナのシリコングリスの説明を以下に紹介しておきます。
「ブレーキキャリパー、マスターのオイルシール、ゴム部品の潤滑、電装部品の絶縁に最適」
その他、ブレーキフルードをピストン周りに塗る場合もあります。
浮動式キャリパーのスライドピンにもラバーグリスorシリコングリス
浮動式キャリパーのスライドピン周りでもゴムが使われているので、ラバーグリス、もしくはシリコングリスを使うのが良いでしょう。
余談ですが、スライドピン周りは浮動式キャリパーのブレーキ時のタッチとリリース時のキレに大きく係わる部分なので、パッド交換毎に清掃・チェック・メンテを行いたいところです。
ブレーキパッド裏に塗るのはパッドグリス
ブレーキパッドの裏にもグリスを塗るのですが、ここではパッドグリスというものを使用します。(書籍によってはシリコングリスを塗っている場合もあります)
ブレーキパッドの裏、ピストンと接触する部分は接触面積が小さいため大きな圧力がかかります。
よって耐圧性能を兼ね備えた素材が使われています。
パッドグリスを塗布する目的は、ブレーキの鳴き防止とブレーキパッド裏の錆び防止です。
鳴きについてですが、ブレーキング時に発生した振動が鳴きに繋がるのですが、グリスがこの振動を防止する役割をはたしてくれます。
錆びについては、ブレーキパッドの裏側、ピストンと接触する側は鉄製であるため、この部分が錆びるとピストンも錆びてしまいます。そのため、グリスを塗り対処するといった形になります。
よって、パッドグリスを塗るのはピストンとブレーキパッドが接触する部分だけ塗れば問題ありません。
上の画像のような感じで接触部分にうすーくでOKです。
こちらは使用後のブレーキパッドの裏面ですが、ピストンと接触部だけ塗装が禿げています。パッドグリスはこの部分に塗ってあれば問題ありません。
参考に私の手元にあるキタコのブレーキパッドグリスの説明を以下に紹介しておきます。
キタコ ブレーキパッドグリス
・ブレーキパッドの鳴き防止剤
・パッド
・ブレーキディスクパッド裏面のシム両面に塗布することで鳴き防止と制動ムラを防ぐ。
・成分:銅粉・二硫化モリブデン・鉱油・窒化ホウ素・添加剤
パッドピンやパッドスプリングにもパッドグリス or シリコングリスで錆び・摩耗防止
ブレーキパッドを固定するパッドピン、パッドスプリングもパッドグリスを薄く塗布しておくことで、錆びと摩耗防止することができます。
シリコングリスでもOKです。
パッドスプリングは、ブレーキパッドと触れる部分だけ塗っておけば問題ありません。
こちらはパッドピンです。
全体に薄く塗っておきましょう。
ちなみに錆や段付きがある場合は新品に交換してください。
まとめ
というわけで、まとめは以下のようになります。赤色は私が整備するときに実際に選択しているグリスです。
1.キャリパーピストン→ラバーグリス、シリコングリス
2.ブレーキパッドの裏→パッドグリス、シリコングリス
3.浮動式キャリパーのスライドピン→シリコングリス、ラバーグリス
4.パッドピン、パッドスプリング→シリコングリス、パッドグリス
私は一応名前の通りに使い分けましたが、全てシリコングリスで対応しても大丈夫ですね笑。
ブレーキは保安部品の中でも特に重要な場所です。
整備不良が最悪生死に繋がることもある場所なので、正しい知識を持ち正しい整備を行いましょう!
コメント
シリコングリスをPCCPUグリスに使えますか?バイクのブレーキ程高温になりませんがいかがですか?
ブレーキ周りで使うグリスは主に潤滑油・摩擦対策、CPUグリスはCPUからヒートシンクに熱を移すためと目的が異なるので、単純に使用箇所の温度だけで使用可能かどうかは語れないと思います。
cpuグリスの場合、熱伝導率が高いほど用途としては適していると考えられますが、少し調べたところ、CPUグリスとして使われているシリコングリスもあるようですね。
そのようなそもそもCPU用グリスとして販売されているシリコングリスなら特に問題ないかと思われます。
一方で、既に所持しているバイク用のシリコングリスを流用したいという場合、細かい成分がCPU用シリコングリスと比べてどうなのかがわからないので、万が一想定の性能が得られずPCが故障してしまった場合明らかにデメリットのほうが大きいので、そこまでリスクを取ってまで使うのであれば、個人的には普通にCPU用グリスを買ってしまったほうがいいかなと思います。