これからバイクを自分で整備していこうと思っているライダーのかたに「必ず」用意してほしい工具がトルクレンチです。
トルクレンチは、簡単に説明するとボルトナットを設定した力で締めることができる工具になります。
今回はトルクレンチがなぜ必要なのかから、トルクレンチの種類やおすすめのトルクレンチまで解説していきます!
トルクレンチはバイク整備では絶対に必要。初心者こそトルク管理の重要さを理解すること!
ボルト・ナットが適正な力で締められていなければ何が起こるか。
もしボルト・ナットを十分なトルクで締めていなければ、振動によりボルトが脱落してしまう危険性があり、かと言って逆に締めすぎるとボルト類の破損に繋がってしまいます。
トルクレンチはこういうことが起こらないように適正な力でボルト・ナットを締めるのに使う工具になります。
ボルトの脱落は最悪生死にかかわることも、ボルトの破損で最悪廃車にも
エンジンオイルのドレンボルトやブレーキ周りなんかはバイクの乗る人ならば割と触る機会が多い箇所だと思いますが、走行中にこれらのボルトが緩んだら・・・
エンジンオイルが漏れればその上を通るリアタイヤがスリップして転倒、ブレーキが脱落したら生死に係わる事故になるかもしれません。
また、ボルトを締めすぎて破損させた場合、例えばエンジンに直接ついているボルトが破損してしまえば非常に高額な修理費がかかる、もしくは最悪廃車なんてこともあり得ます。
特に、ブレーキなどのボルトの脱落が生死に関わる部分には必ずトルクレンチの使用したいところです。
素人の「感覚」は全くあてにならない。トルクレンチを使いその感覚を養う
熟練の整備士であればトルクの感覚が養われており、トルクレンチを使わずとも適正トルクで締めることができる場合はあります(ディーラーやバイク用品店の整備士の場合、ボルトナットの位置にマーキングする場合が多いですね)。
一方素人の場合、これからバイク整備をはじめるわけですから感覚も何もありません。
つまり全くあてにならないわけであって、それに頼るほど怖いものはありませんね。
これから自分で整備をしていこうと考えているならば、大切な愛車なのでしっかりと整備してあげれるようトルクレンチを相棒にしましょう!
代表的なトルクレンチの種類はプリセット型とプレート型
前置きがめちゃくちゃ長くなってしまいましたが笑、ここからはトルクレンチの基礎知識になります。
まずはトルクレンチの種類について。
トルクレンチにはいくつかの種類がありますが、メジャーなものとしてはプリセット型とプレート型(直読式)の2つになります。
プリセット型トルクレンチ:まず買うならこちら
プリセット型のトルクレンチは、あらかじめかけたいトルクを設定し使用中そのトルクに達したら「カチッ」という音とクリック感とともに頭に角度がつき設定したトルクに達したことを伝えてくれるようなものです。
トルクは、グリップ部をぐるぐる回し、バーに記載された位置に合わせることで設定します。
プレート型トルクレンチ:狭い場所の作業では不向き
次はプレート型のトルクレンチ。
かけた力に応じて動く針をプレート上の目盛で確かめるタイプですが、こちらはバイク整備ではおすすめできません。
正確ではない上に、使用中にプレートに目を落とす必要があるからです。
また、作業スペースが狭い部分が多いバイクではプレート型トルクレンチがそもそも入らない場合があります。
トルク表示はNmのものを選べば間違いない。一本目は25Nm~100Nmのものがおすすめ。
トルクの単位表示には複数のものがありますが、最近はNmで統一されているのでそちらを購入してもらえれば間違いありません。
トルクレンチは商品によって設定することができるトルクの範囲が決まっています。
調整範囲に応じて複数所持するのが理想ですが、まず一本目は25Nm~100Nm前後のものを選ぶといいでしょう。
規定トルクの例
様々なサービスマニュアルで紹介されているボルトサイズごとの規定トルクの例を紹介しておきます(上はFZ1のサービスマニュアルの例です)。
ボルトサイズ(M) | 規定トルク(N・m) |
M5 | 3.4 – 4.9 |
M6 | 5.9 – 7.8 |
M8 | 5.9 – 7.8 |
M10 | 25- 34 |
M12 | 44- 61 |
M14 | 73 – 98 |
M16 | 115 – 155 |
M18 | 165 – 225 |
M20 | 225 – 325 |
ただし、場所によっては上記の規定トルクとは別のトルクが指定されている場合もあるため、サービスマニュアルを持っているに越したことは無いです。
また、当然ですがネジロックが塗布されているボルトには必ず塗りなおす必要があります。
トルクレンチが無い場合は最悪メガネレンチで
トルクレンチがどうしても無いという場合はメガネレンチを使いましょう。
メガネレンチは、そのサイズに合わせて適切なトルクがかけやすいような長さになっています。
とはいえ最近は比較的手の届きやすいトルクレンチがたくさん登場しているので、やはり一本持っておきたいところですね。
トルクレンチはボルトを緩めるときには使ってはいけない
スピンナーハンドル
トルクレンチは繊細で高価な工具であるため、大きなトルクをかけてボルト・ナットを外す用途には使わないようにしましょう。
トルクレンチは締め付ける方向と緩める方向を切り替えることのできるスイッチが搭載しているものが多いですが、基本的には締め付ける方向の用途で作られています。
雑な使い方をすると壊れてしまう可能性も十分あり得えます。
大きなトルクをかけたい場合は、「スピンナーハンドル」という商品があるのでそちらがおすすめです。
スピンナーハンドルは、ラチェット機能がついておらず、先端部分の角度を変えられ、比較的ハンドル部が長いものを指し、非常に安価なのが特徴です。
おすすめのトルクレンチ
解説が長くなりましたが、最後におすすめのトルクレンチの紹介です!
コスパ優先ならE-Value!
E-Valueのトルクレンチは、トルクレンチの中でも比較的安価な部類で私も実際に使用しているものです。
精度に関してはレビューでの評価も高く、一本目にはおすすめかと思います!
紹介しているトルクレンチのトルク設定範囲は20~110N・m。
他にも5~25N・m、40~200N・mの範囲のものが同ブランドから販売されています。
3000円前後と比較的(というかかなり?)安価なので、一本目にはおすすめです!
一流工具メーカーならKTC
多少高価であっても最高品質の一流工具メーカーが良いという場合はKTCがおすすめです。
精度・品質が高いのは当たり前、そして高級感がある見た目。
たかが工具、されど工具って感じですね!
いくつか種類があり、品番と測定範囲は以下の通りです。
CMPB0503(差し込み角9.5mm):10~50Nm
CMPB0504(差し込み角12.7mm):10~50Nm
CMPB1003(差し込み角9.5mm):20~100Nm
CMPB2004(差し込み角12.7mm):40~200Nm
モノによっては単一のトルクでしか使えないトルクレンチもあるので、設定トルクは必ずチェックしてください!
トネ(TONE) ハンディデジトルク:ラチェットに取り付けて使用するトルクレンチもある!
番外編として、トネ(TONE)のハンディデジトルクの紹介もしておきます。
画像のように、ラチェットレンチとソケットの間に挟むことでトルクレンチのように使用できるような製品となっています。
デジタルでトルクを設定でき、その範囲は差し込み角9.5mmなら10~135Nm、差し込み角12.7mmなら20~200Nmまでと非常に広範囲。
また、トネは一流工具メーカーということもあり、トルクの精度は±3%と十分ですね。
目標トルクに近づいたら音と光で知らせるタイプになるので、クリック感などはありませんが、普通に使用する分には全く問題ないでしょう。
まとめ:自分で整備するなら絶対に用意しておきたい工具!
というわけで、トルクレンチの基礎知識からおすすめ商品までざくっと1記事でカバーしました。
私の周りを見ても、トルク管理をちゃんとしているライダーははっきり言って少ないです。
初心者がバイク整備をするのに感覚で適切なトルクで締めることは実際のところ不可能です。
走行中にボルトが脱落したら大変ですし、まして整備中にボルトが破損してしまったら場合によっては高額な修理費用がかかってしまいます、もしくは廃車?怖いですね~
この記事を読んだあなたには是非トルク管理の重要性を理解し、しっかりとトルク管理を行えるライダーになってほしいと思います。
参考になれば幸いです!
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