さて今回はブレーキパッドの交換方法について解説していきます。
本来はブレーキパッド交換とキャリパー清掃はセットでもいいぐらいなのですが、以前キャリパー清掃については個別に記事を書いているので、せっかくなのでブレーキパッド交換と分けて更新したいと思います。
ブレーキキャリパーの清掃のやり方:
ブレーキパッドは消耗品且つカスタム用品でもある
さて今回はブレーキパッドの交換方法について解説していきますが、その前に事前知識を少し紹介。
ブレーキパッド交換について調べているのであればもはや言わずもがなだと思いますが・・・ブレーキパッドは消耗品なので、交換時期が来たら速やかに交換する必要があります。
また、ブレーキパッドによってブレーキの効きやフィーリングは変わるので、せっかくなので自分好みのブレーキパッドを探すのもおすすめです!
ブレーキのカスタムはマスターシリンダーやキャリパー本体の交換なども候補にあがりますが、これらはかなりブレーキ性能に大きく影響を与え、よくわからず交換してしまうのは場合によっては危険とも言えます。
ですからまずはブレーキパッド交換によって自分のしたいブレーキカスタムの方向性を定めるのが吉かと思います。
必要なもの
というわけで、まずは必要なものから解説していきます。
ブレーキパッド:これも立派なカスタム!自分にあった物を探してください!
まずは新しいブレーキパッドですね。
とりあえず今回はデイトナのゴールデンパッドに交換したのでそちらの写真使って解説していきます。
ブレーキパッドは色んなメーカーが出しており、私自身現在色んなブレーキパッドを試している最中ですのでこれがおすすめと言うことができないのですが、どれがいいかわからないのであればとりあえず有名所のデイトナの赤パッドかゴールデンパッドあたりを購入してはいかがでしょうか。
結局自分に合ったブレーキパッドは自分で色々使って比較するしかわからないので。
ちなみに前回は赤パッドを試していました。
途中こちらの写真も混ざってます。
トルクレンチ:ブレーキは重要保安部品なのでトルク管理は必須
お次はトルクレンチです。
ブレーキは保安部品ということもありますし、走行中に脱落なんかしたら命に関わるのでトルクレンチはしっかり使いたいところです。
パッドグリス・シリコングリス・(ラバーグリス):各部のグリスアップに使います
次はグリス類です。
ブレーキパッド交換で使うのは、シリコングリスとパッドグリスになります。
ラバーグリスはキャリパー清掃のときのピストンのグリスアップに使いますが、キャリパー清掃も一緒にする場合はラバーグリスも一緒に購入しておいてください。
パッドピン:錆びてたり段付きになってたら交換
パッドピンはブレーキパッドを固定するために使われているものです。
パッドピンを支えにしブレーキ時にはブレーキパッドがスライドするわけですが、パッドピンが錆びてたり段付きになっているとスムーズな動きを妨げる原因になるのでそういった場合は要交換です。
段付きの判断については、指でなぞって段差が感じられるようであれば交換してください。
キャリパーによって使われてるパッドピンが異なるので、自分のバイクにあったものを選んでください。
ディスクブレーキセパレーター
ピストンを押し戻すのに使います。
が、バイクのブレーキキャリパーのサイズであれば、不要かな?という気もします。
手で押してもピストンが固くて戻らない場合には有効かと思いますが、手で動かないレベルの固さだと普通に整備不良ですので、ラバーグリスをしっかり塗る必要があります。
基本はブレーキパッドとキャリパー清掃はセットですが、キャリパー清掃は別記事にて
放置してるとこんなことに
基本的には、ブレーキパッド交換のタイミングでキャリパー清掃もセットでしておくのが吉です。
よほどマメなライダーでもない限り、個人でそうそうキャリパーを外して定期的に清掃しているライダーはなかなかいないと思います・・・(たぶん)
キャリパー清掃については、以前別記事で個別に解説しているので、合わせてご覧になってください。
ブレーキキャリパーの清掃のやり方:
分解方法
というわけで、前置きが長くなりましたがここからブレーキパッド交換方法について解説していきます。
キャリパーのマウントボルトを取り外す
まずはブレーキキャリパーのマウントボルトを外します。FZ1FAZERの場合はフロントフォークの下部についた2つのボルトですね。
FZ1の場合は、規定トルクは上側が40Nmで下側が30Nmとなっています。
ブレーキホースをまとめているボルトも外したほうが取り回しがしやすいのでこちらも外しておきましょう。
画像ではピンクのマークがありますが、再度組み上げる時に元々締まってたトルクと同じぐらいのトルクにしたい場合はこういったマーキングをすることがあります。
私はトルクレンチがあるので規定トルクで締めていますが、こちらのマークはディーラーに整備に出したときについていたものですね。
ディーラーの場合、色んな車種を整備しないといけないので、毎回サービスマニュアルを引っ張り出して規定トルクを調べるといった作業はあまりしてないんでしょう。
(全ての車種のサービスマニュアルを用意するのも大変だと思いますしね。)
どちらが良い悪いとかはありませんが、私個人としては、素人が整備するのであれば、しっかりサービスマニュアルを手元に用意し、トルク管理はトルクレンチをしっかり使う「べき」だと考えています。
ブレーキキャリパーがディスクに引っかかって取り外せない場合
ブレーキキャリパーはディスクローターに対して真っ直ぐ取り外すようにしましょう。無理に斜めに力をかけてしまうとディスクが曲がる原因になります。
ディスクとホイールの間のスペースが狭いバイクの場合は、ピストンを多少押し戻してパッドの間を広げてからでないと取り外せない場合があります。
その場合はディスクに対してピストンを押す形に力をかけてピストンを少し押し戻さないと取り外すことができません。
人によってはマイナスドライバーをいれてこじ開ける場合もあるようですが、どれがベストな方法なのかは実はわかっていません^^;
パッドピンを取り外す
次はパッドピンを取り外します。
FZ1の場合は、βピンタイプですので、これらをラジオペンチなどで引き抜きます。
βピンを外すとパッドピンを外すことができるので外します。
そうするとブレーキパッドと、パッドスプリング(写真下の板みたいなやつ)が出てきます。
言い換えれば、ブレーキパッドとパッドスプリングはパッドピン一本で固定されているということですね。
パッドスプリングには表裏と向きがあるので、取り外す前はしっかりチェックしておきましょう。
本来ならキャリパー清掃もここでするが、別記事にて解説
本来ならこのタイミングでキャリパー清掃が入りますが今回は省略します。
基本的にはブレーキダストがついているだけで、ブレーキダスト自体は真鍮ブラシでこすればすぐに落ちます。
あとはピストンの動きは悪い場合はラバーグリスでピストンの動きが良くなるまでグリスアップです。
ピストン自体の錆が酷かったり、ピストンシールが固着していたりする場合はオーバーホールが必要になりますが、初めにも書いたようにブレーキは保安部品の中でも重要なものですので、キャリパーのオーバーホールはあまり素人はしないほうがいいでしょう。
ブレーキキャリパーの清掃のやり方:
組み立て方法
というわけで組み立てていきます。
キャリパー清掃は基本的にセットですので今回もキャリパー清掃はしっかりしています。
ピストンを押し戻す
まずピストンを押し戻します。
しっかりグリスアップすれば普通は指で押せる程度の固さです。
一つ押したら他のピストンが出てくるので、ピストンが抜け落ちてしまわないように注意しましょう。(ピストンはピストンシールでとまってるだけです)
パッドピンのブレーキパッドとの接触部にシリコングリスを塗る
組み上げる前に各部のグリスアップをします。
まずはパッドスプリングから。ブレーキパッドと接触する部分にシリコングリスを薄く塗っておいてください。
写真の場合三箇所ですね。
ブレーキパッド裏のピストン接触面にパッドグリスを塗る
パッドの色が変わってますが、次はパッドグリスです。
パッドグリスは鳴き防止ですね。ブレーキパッドの細かい振動を防止することで鳴き防止効果があります。
こちらは使用後のブレーキパッドですが、写真を見てもわかるようにブレーキパッドの裏面はピストンとしか接触してませんので、ピストンとの接触面に薄く塗ってあげれば問題ありません。全体に塗る必要はありません。
必要であればパッドピンは新品に交換する
次はパッドピンです。こちらはシリコングリスでグリスアップしてください。
また、今回はパッドピンが交換時期に達していたので新しくしています。
パッドピンは、錆びていたり段付きになっていたら要交換です。ブレーキパッドの動きがスムーズに行われなくなります。
段付きについては、指でなぞって段差が感じられるようであれば交換してください。
分解したときと逆の手順で組み上げる
分解したときと逆に組み上げます。
ブレーキパッド、パッドスプリングには向きがあるので、これについても元通りにしてください。
FZ1の場合は、矢印がマークされているのでこれが目印になります(写真のパッドスプリングの左下あたりです)。
ブレーキを握ってピストンを押し出しておく
最後はブレーキを何回も握ってピストンを出し切ります。
この作業をせずにいきなり走行したらブレーキが全く利きません。
作業後はすぐに走行するのではなく、必ず押し引きから異常が無いか確認してください
作業が終わったら、まずは車体の押し引きでブレーキがしっかりかかるかをチェックし、その後極低速状態でブレーキチェックを行ってください。
何か異常があればすぐに原因を突き止めてください。
何度もいいますが、ブレーキ周りの整備不良命に関わります。
個人でする場合は、しっかりと情報を集めて、正しい情報を元に整備してください。
リアも基本的には同じです
今回はフロントブレーキパッドの交換を解説しましたが、リアブレーキパッドも作業内容としては基本的には同じです。
FZ1の場合は、リアブレーキはピストン片押しになります。
また、パッドピンもβピンタイプではなく、ねじ込み式となっています。
これも交換時期ですので今回交換しておきました。
ディスクローターの交換時期、フルード交換時期について
今回はブレーキパッドの交換方法でしたが、ブレーキ周りの消耗品といえばディスクローターとブレーキフルードがあります。
ここまで茶色いと完全に交換時期
ブレーキフルードについては、フルードの色が変われば交換時期です。
普通は透明で、茶色くなってたりしたら交換が必要になります。ブレーキフルードのリザーバータンクには窓がついているのでそちらで確認してください。
フルードはものによっては着色されているものもあります。
ブレーキフルード交換についても後日記事にする予定ですのでしばしお待ちを。
まとめ:ブレーキは重要保安部品なのでしっかり下調べをしてから行ってください!
というわけでブレーキパッドの交換方法について解説しました。
作業内容としてはそこまで難しくありませんが、ブレーキは重要保安部品なので念には念をという気持ちで臨んでください。
あとは、ブレーキパッド選びもバイクカスタムに含まれるので、自分好みのブレーキパッドを見つけるのも楽しいと思います!
コメント
> ディスクとホイールの間のスペースが狭いバイクの場合は、ピストンを多少押し戻してパッドの間を広げてからでないと取り外せない場合があります。
画像に使われているMOSキャリパーはパッドピンとクリップを外せば、キャリパーの上部からパッドだけ先に抜き取る事ができます。
そうすれば無理にこじる事なくキャリパーの着脱ができます。