さて今回はバイクのブレーキキャリパーの清掃について解説していきます。
ピストンの動き、即ちブレーキ性能に大きく関わる整備ですので、そこまで日常的にしなくとも、一定期間ごとにはしておきたい整備の一つです。
最低限ブレーキパッド交換ごと、もしくは車検ごととか1年毎だと尚理想ですね。
ブレーキ周りの整備としてはブレーキパッド交換やフルード交換もありますが、そちらについては別記事で解説しています。
ブレーキキャリパーの清掃・グリスアップでピストンの動きを滑らかにする
今回はブレーキキャリパーの清掃ですね。
ブレーキは、ブレーキパッドが摩耗することで制動力を生むような構造になっていますが、その摩耗した時に出る金属粉がブレーキ周りにはどんどんたまっていきます。
これらをとってあげるのがキャリパー清掃の基本的な作業です。
あとは、清掃後はグリスアップをしピストンが滑らかに動作するようにしてあげます。
ピストンの動きが渋いと、ブレーキレバーを戻した際にピストンの戻りが悪くブレーキを引きずり気味になってフェードやベーパーロックしやすくなったりする原因にもなります。
ブレーキ本来の性能を引き出してあげるためにも、キャリパー清掃は非常に重要な整備です。
必要なもの
ブレーキキャリパー清掃にあたって用意したもの、必要なものです。
グリス類(ラバーグリス・シリコングリス・パッドグリス)
ブレーキキャリパーのメンテに必要なグリスは3つですね。
ラバーグリス・シリコングリス・パッドグリスです。
ラバーグリースはピストンに、シリコングリスはパッドピン、パッドグリスはブレーキパッドって感じです。
真鍮ブラシ
写真左の3点セットブラシがおすすめ
今回の整備でメインで使うのは真鍮ブラシで、ピストンなどについたブレーキダストをとるのに使います。
私は初め、パーツクリーナーを超至近距離で大量にぶっかけたらピカピカになると思ってましたが全くならず、真鍮ブラシでこすったら一発でピカピカになりました笑。
当たり前ですがパーツクリーナーは油分を取るものであって、ブレーキダスト、つまり金属粉は油分でもなんでもないのでブラシで擦って落とす必要があるわけですね。
真鍮・ナイロン・ステンレスの3本セットのブラシはバイク整備でよく使うので、セットを一つ持っておいても損は無いでしょう。
ピストンツール:ピストンを回転させるのを素手であれこれするのはかなりしんどい。絶対に必須
ピストンを清掃するときやグリスを塗る際にピストンを回転させるのに使います。
私は比較的筋力があるほうなのでこれもいらないと思ってたのですが、動きが渋いピストンってマジでめちゃくちゃ硬く、作業中に急きょバイク用品店にピストンツールを買いに行きました。
ピストンの出し入れはともかく、ピストンを回転させる作業はピストンツールが無いと人力では無理ですので必ず用意しておいてください。
グリスを塗ったときに指で回そうとしてもつるつる滑るだけです笑。
パーツクリーナー
全体の清掃に使います。
ピストンにはラバーシールが使われているので、ゴムを傷めないものを選んでください。
キャリパー清掃にあたってめちゃくちゃ参考にした本
可能ならサービスマニュアルを、それでなくとも整備本は一冊用意しておきたいですね。
このメンテ本は解説用車両にFZ1 FAZERを使っているので、私はこちらを選びましたが、別にどれでも良いと思います。
あとはカスタム虎の穴のブレーキ編。ブレーキメンテから、ブレーキ構造まで漫画で詳しく解説してくれているので非常におすすめの本です!
とりあえず上のメンテ本一冊とこのカストラを読み込んどけば今回のキャリパー清掃については問題ないかと。
規定トルクについてはサービスマニュアルにしか書いてないので、用意できるならサービスマニュアルも用意しておいてください。
キャリパーの取り外しと組み立ては別記事で詳しく解説しています!
今回はキャリパーの清掃部分を重点的に解説したいので、キャリパーの取り外しと組付けについては別記事譲ります。
合わせてご参照ください!
バイクのブレーキパッド交換のやり方:
ブレーキキャリパー清掃の手順
というわけで、まずはキャリパーを外します。
今回の車両は走行距離2万キロをノーメンテだったのでなかなかの汚れ具合です笑
清掃大まかな流れは、
- ブレーキ周りのパーツについたブレーキダストを真鍮ブラシを使って落としていく
- 最後にグリスアップする
という感じになります。
パーツ類についたブレーキダストを真鍮ブラシで落としていく
まずは真鍮ブラシを使ってブレーキダストを落としていきます。(ステンブラシはピストンを傷つけるので絶対に使ってはいけません)
写真はピストンの片側だけ真鍮ブラシで軽くブレーキダストを落とした写真になります。(写真自体は先程の1枚目とは別の作業日ですので汚れの度合はましになってます)
ブレーキダスト自体は、油分ではなく文字通りダスト、金属粉ですので真鍮ブラシで軽くこするだけで簡単に落ちます。
ピストンツールを使ってピストンを回しながら全体をキレイにしましょう。
根元部分が磨きづらい場合は、ブレーキを軽く握って少しピストンを押し出してください。
ピストンは、ストッパーなどはなくただピストンシールではまってるだけですので、ブレーキを握り過ぎたらピストンが抜け落ちるので注意してください。
パーツクリーナーで全体的に綺麗にしたら清掃は終わりです
あとはパークリを全体にかけたらOKです。
パークリをかけて綺麗にしたあとはウェスでしっかりふき取りましょう。
リアブレーキも同様にします。こちらは作業後。
FZ1の場合は、リアは片押し1ピストンです。
ピストンをラバーグリスを使ってグリスアップ
次はピストンにラバーグリスを塗っていきます。
ラバーグリス以外ですと、シリコングリス、もしくはブレーキフルードでも可ですが、まあラバーグリスでいいでしょう。
※ブレーキフルードの場合、ブレーキフルードは塗装を剥いでしまうので一応扱い注意です。ついてしまったらすぐに水に流せば問題ありません。
ピストンの側面をピストンツールを使って回転させつつ全体に塗ります。
塗れたら手でピストンを押し込み、再びブレーキレバーをゆっくり何回か握りピストンを出すのを数回繰り返してなじませます。
ピストンが手で押し戻せるぐらいまで上記作業を繰り返します。
このとき、ピストンの一つを押し込んだら他のピストンは出てこようとするのでピストンが外れないように注意です。
手で他のピストンを抑えながら押し込めばOKですね。
まあゆっくり押し込んだら出てくるピストンの速度もゆっくりなので、基本様子見つつすれば問題ありません。
ピストンの数が複数あるキャリパーの場合は、ブレーキレバーを握ったらだいたい同じような速度で出るまで作業を繰り返してください。
完全に同じにはならないと思うので、だいたいで問題ありません。
再度組み付ける際パーツ同士の当たりがあるので必ず元通りにすること
ブレーキパッドを交換する際にはパッドが新しくなるので気にする必要はありませんが、各部の当たりがあるのでキャリパー清掃だけを行う場合は各パーツの左右位置や向きは必ず元通りに戻しましょう。
まとめ:最低限ブレーキパッド交換ごとには清掃もセットでしたいところです
というわけで、ブレーキキャリパー清掃のやり方でした。
ピストンの動き、つまりブレーキ性能に大きく関わる整備ですので、そこまで高頻度ではなくとも最低限ブレーキパッドを交換するたびにはキャリパー清掃も合わせてしたいところです。
余裕があるならば一年に一回とか、車検ごととかでやっても良いでしょう!
コメント
ペーパーロックってなってますよ。
「ベ」ーパーなんですね!
素で間違えてました笑。ありがとうございます!