FZ1 FAZERでのエンジンオイルとフィルター(エレメント)交換を例にしてエンジンオイル交換・フィルター交換についての知識と方法についてまとめておきます。
多くのバイク初心者がまず挑戦する整備ですが、押さえておくべきポイントがいくつかあり、適当にすれば大惨事になる可能性もある整備ですので、この記事でしっかりと知識を入れてから行ってください!!!
実際に私の身近なバイク初心者で大失敗した例もあるので記事内で紹介します。
バイクのエンジンオイル交換・オイルフィルター交換、巷では基本整備みたいな感じだが侮るなかれ。
バイクのエンジンオイルは長く交換しないでいると性能が落ちます。(ここでいう性能とは、吹け上がりが悪くなったり、シフトチェンジ時に渋かったり、冷却効率が落ちたりなどです。)
どういうことかといいますと、エンジンは金属部品で構成されていますが、金属部品がこすれ合うときに金属は摩耗します。
この摩耗を抑えるためにエンジンの中には潤滑油としてエンジンオイルが入っているわけですが、潤滑油があったとしても摩耗するもは摩耗します。
エンジン内の金属が摩耗して出る金属粉を含むと、エンジンオイルの性能は落ちていきます。これがエンジンオイルを定期的に交換しないといけない理由になります。
カートリッジ式のオイルフィルター
そして、オイルフィルターは摩耗して出た金属粉をろ過するためについています。
上の画像はFZ1 FAZERのオイルフィルターです。
最近のスポーツバイクはこのようにエンジンの外側についているタイプ(カートリッジ式という)が多いですが、クラシックタイプやスクーターはエンジンの中に入れる内蔵式も存在します。
交換頻度はエンジンオイルは3,000km毎、フィルターは2回に一回とよく言われている
バイクのエンジンオイル交換はよく3,000km毎に、オイルフィルターについてはエンジンオイル交換2回に一回(つまり6,000km毎)とよく言われています。
だいたいこれを基準にすればいいと思います。
ちなみに私は、エンジンオイルは5,000kmごとに、オイルフィルターは10,000kmごとに交換しています。
さすがに5,000km走行するとシフトチェンジが渋いなあと感じることはありますが、3,000km毎だとすぐに達してしまうので、このくらいの頻度でちょうどいいかなあと思っています。
ただ、特にこだわりが無ければ3,000kmごとか、バイクの取扱説明書の指定走行距離で良いと思います。
スポーツ走行などでより性能重視という人はもっと交換スパンが短い人も見られます。
エンジンオイル・フィルターの交換で必要なもの
エンジンオイル交換・フィルター交換にあたって用意すべきものを紹介しておきます。
工具&トルクレンチ:特にトルクレンチは必須!
単純にエンジンオイルを抜いて入れるだけであれば、サイズのあったメガネレンチが一本あれば可能ですが、エンジンに直接ついたボルトを扱うため、できればトルクレンチを使いたいところです。
トルクレンチは、設定したトルクでボルトを締めることのできる工具です。
バイクには全てのボルトに規定トルクというものが設定されています。
この規定トルクは、ボルトが脱落させない、破損させないためのトルクです。
エンジンオイル交換は比較的簡単に取り組むことのできる整備ですが、締めすぎて破損させればエンジンが使えなくなり(最悪廃車か、修理するにしても工賃が大変なことになる)、また緩すぎたらボルトが脱落しオイル漏れの原因になりますので、できればトルクレンチを使いたいところです。
実際に私の身近なバイク初心者で、素人感覚でボルトを締めた結果、締めすぎてエンジン側を破損しそのまま廃車してしまったライダー、ボルトが緩すぎて走行中にボルトが外れてエンジンオイルが漏れたライダーの両方がいます!
エンジンオイルが走行中に漏れたらリアタイヤがエンジンオイルで滑って最悪即転倒などもあります!また路面にエンジンオイルが散乱したら後続車も危険に晒すことになりますよね。
ドレンボルトの指定トルクは、例えばFZ1の場合43Nmと比較的大きなトルクが必要になります。
オイルフィルターは17Nmぐらいですね。
以下のトルクレンチのように、20~110Nmはバイク整備でよく使うトルクレンジなので、一本目には良いでしょう。
私もE-Valueのもので揃えています。

エンジンオイルはまずはメーカー指定の純正でOK。必要量を確認して必要分用意してください
交換用のエンジンオイルです。
エンジンオイルは色々種類がありものによってフィーリングが全然変わってくるので最終的には自分好みのエンジンオイルを見つけるのもバイクカスタムの一つなのですが、とりあえずエンジンオイル交換を自分でするのを経験しておきたいという場合はまずはメーカー指定の純正エンジンオイルで問題ないでしょう。
エンジンオイルには鉱物油や化学合成油などがあるのは有名なので聞いたことがあるかもしれませんが、他にも規格やら粘度やらで意外と奥が深かったりします・・・
とりあえずこの記事はエンジンオイル交換の方法の記事ですのでエンジンオイル自体についての解説は省きますが、また別記事でそこらへんも詳しく書いていきたいのでしばしお待ちください^^
後は必要なオイル量も調べて必要量用意してください。オイル量は、エンジンに直接打刻されていたりシールで貼っていたりする場合もありますし、バイクの取扱説明書を見てもOKですし、ネットで調べても出てくると思うのでなんでもOKですw
わからなければオイル窓やオイルレベルゲージを使ってチェックしたりも可能です。ちなみにFZ1の場合は3Lです。
余談ですが、購入したバイク屋で定期点検時にオイル代無料で工賃のみとか書いてる場合がありますが、下のグレードのエンジンオイルを使っていたりすることもあります(笑)。
あまり数は多くないですが、私が実際に使用してみたエンジンオイルについては下記ページで一応書ける範囲でインプレしています(私自身も色々試してる最中ですので内容はあまり期待しないでくださいw)。

ドレンワッシャー:エンジンオイル交換毎に「必ず」新品に交換する!
ドレンワッシャーは、ドレンボルトに使うワッシャーです。
通常のワッシャーと異なり、ドレンワッシャーはボルトを締めることで潰れ隙間を密閉、オイル漏れを防ぐといった設計になっています。
一度使用し潰れたドレンワッシャーは段付きになるため、再利用しても隙間を密閉することができずオイル漏れの原因になります。
そのため必ず毎回新品を使うようにしてください。
ドレンワッシャーはパーツリストからメーカー純正を購入してもいいし、社外のものを使用しても問題ありません。
私はいつもデイトナのものを使っています。
サイズがあるのでバイクにあったものを選びましょう。
オイルフィルター(エレメント)
オイルフィルターを交換する場合はオイルフィルターも購入しましょう。
車種別に用意されているので、バイクにあったものを購入しましょう。
別にどのメーカーのものでも問題ありませんが、フィルターにマグネットが内臓しており金属粉をよりろ過するものも販売しています。
有名どころですと、デイトナ、ベスラ、キジマ、キタコなどがあります。好みのものでいいでしょう。
私は特にこだわりがないのでべスラ(Vesrah)のものを使っています。
ポイパック(廃油処理剤)は絶対に購入してください
ポイパックは古いエンジンオイルを吸収して燃えるゴミとして出すことができる廃油処理箱です。
一応住んでる地域のルールに従う必要がありますが、だいたいどこもこれに吸わせて燃えるゴミに出せば問題無いでしょう。
たまに側溝などに垂れ流しにしてインターネットで炎上しているライダーがいますが、不法投棄や環境面など色々問題がありますので自分で整備する以上周りのことも考えることができるライダーになりましょう。
ポイパック以外にもオイルパン(オイル受け皿)を使って牛乳パック+新聞紙で燃えるゴミという方法もあります
私は基本的にはポイパックを毎回使っているのですが、人によっては上記のようなオイル受け皿でオイルを受けたあとに、牛乳パックに新聞紙を軽く詰めてそこにオイルを流し込み、そのまま燃えるゴミで出している人もいます。
まあここらへんは好みになってくるので好きなほうを選べばいいと思います。
FZ1なんかは3L必要なので牛乳パックが3本以上必要になるので(1Lのパックに新聞紙をつめるので入る量は一本あたり1L以下になるため)、それだとポイパックのほうが断然楽ですが、250ccクラスだとエンジンオイルは1Lちょっとぐらいで済む場合もありますので、その場合はこの方法でも楽かもしれませんね。
オイルパンは使用後パーツクリーナーを吹き付けてキッチンペーパーやウェスでふきふきすれば綺麗になります。
まあ処理はポイパックにするにせよ、オイルパンはあっても損は無いと思います。
というのも、ポイパックをバイクの下に直接入れると、中の紙がエキパイについてしまい熱で溶けてエキパイが汚れるといった経験がありますので笑、オイルパンを使えばそういうのは起こりませんねw
ちなみに購入するときはこういう注ぎ口がついてるとオイルの後の処理が楽です。

オイルジョッキ or ジョウゴ:好きなほうでOK
オイルジョッキはエンジンオイルを入れるための道具になります。
後で紹介しますが、1L単位など区切りのいい値であればジョウゴのようなものを使うのが後処理含めて楽かもしれません。
中途半端な量が必要になる場合は、ジョッキを使うほうが軽量しやすいかもしれませんね。
フレキシブルジョウゴ:必須ではないが気になった人向け
最後はフレキシブルジョウゴで、まあ上の写真のようなものをイメージしてください。
車種によってはドレンボルトのすぐ下にエキパイが通っててオイルの排出がしづらいといった場合に使えるかと思います。
必ず必要というものでもなく、私は使っていませんが一応紹介という感じです。
エンジンオイルの交換方法
ここからはエンジンオイルを交換する手順の解説に入ります。
エンジンを数分(3~5分ほど)暖機
まずはエンジンを3~5分ほどアイドリングで暖機します。
エンジンを暖機する理由としては、エンジンオイルを熱することでオイルの粘度を下げ(柔らかくなり)、オイルを抜けやすくするためです。
このあと作業に入りますが、エンジンとオイルが熱を持った状態で作業しますので、火傷には注意してください。
ポイパックを下に置きエンジンオイルを抜く
次に、ポイパックをエンジンの下に置き、オイルを抜く作業に入ります。
オイルを抜くためのドレンボルトはだいたいエンジンの下部についているので探してください。
FZ1の場合は上のような場所ですね。M14のボルトなので結構サイズが大きいです。
上の画像ではポイパックの中の吸収材がエキパイについてしまっていますが、エキパイにつくと吸収材が溶けてエキパイが汚れるので注意してください(笑)。
ドレンボルトは普通エンジン下部にあります
ドレンボルトを外しオイルを抜きます。
このとき、エンジンオイルは非常に高温になってるので火傷に注意してください。
ポイパックの中にボルトを落としたとしても、オイルが抜けきった後にボルトは回収できるので、無理してボルトをとっておく必要はありません。
だいたい私はあとからボルトを回収することが多いですね。
ボルトが外れた瞬間高温のオイルが流れてきて「あちっ!」ってなるので笑。
このとき、ボルトを回収するのにピンセットやポリエチレン手袋があると便利かもしれません。
フィルターを交換する場合はフィルターを交換する
次に、オイルフィルターを交換する場合の手順になります。
フィルターを交換しない場合はここは無視して次にいってもらって問題ありません。
ドレンボルトからオイルがポタポタと落ちるぐらいになったら、オイルフィルターにフィルターレンチをかまして、オイルフィルターを緩めます。
フィルターレンチを緩めると、フィルターの中に残っていたオイルが出てくるので、ドレンボルトを外したとき同様ポイパックを下に置いておきましょう。
フィルター交換時と、交換しないときと入れるオイルの指定量が違うのは、このフィルター内に残ったオイル量の差になります。
オイルフィルターを外したらこのようになります。
エキパイやエンジンにオイルがついてしまっているので、ウェスやキッチンペーパーにパーツクリーナーを染み込ませて吹けば綺麗になります。
オイルフィルターを取り付ける前に、Oリングに軽く指でオイルを塗る
次に新しいフィルターをつけますが、フィルターのOリング(ガスケット)の部分にオイルを手で軽く塗っておいてください。
これは、フィルターのガスケットの部分の気密性を高め、オイル漏れを無くすためにする作業です。
オイルフィルターを締めるときも可能な限りトルクレンチを使ってください
オイルフィルターを締めるときは、できるだけトルクレンチを使うようにしてください。
規定トルクで締めておくのが結局オイル漏れなどを防ぐことになるので。
また、過度に締めすぎた場合、フィルターが破損するぐらいなら問題ありませんが、エンジン側のボルトが破損した場合は、修理はかなり高額になるでしょう(というか廃車?)。
最低限メガネレンチを使うようにはしてください。
メガネレンチはサイズによって適したトルクをかけることができるような長さで作られています。
尚、べスラの場合は8~12Nmで締め付けてくださいと指定されています。
FZ1のサービスマニュアルでは、締め付けトルクは17Nmとなってますが、これについてはどちらでも問題ないでしょう(どちらかといえばサービスマニュアルの17Nmを優先かな?)。
ドレンボルトを規定トルクで締める
オイルがだいたい出終わったら次はドレンボルトを締めてオイルを入れる作業に入ります。
ドレンワッシャーは新しいものに必ず交換しましょう。
右が新しいドレンワッシャーで、左が古いドレンワッシャーですが、左は一度使用しているため段付きになっているのがわかると思います(わかりづらいかもしれませんが汗)。
まあ見にくかったら交換するときに確認してください。
FZ1の場合、ドレンボルトの締め付けトルクは43Nmと比較的大きなトルクが必要になります。
もしくは、社外のドレンワッシャーであればこのトルクで締めてくださいと指定がある場合があるので、そちらでも問題ありません。
ここも、オイル漏れを防ぐためにできればトルクレンチを使うようにしてください。
オイルを入れる
次にオイルを規定量入れていきます。
通常はオイルジョッキを使いますが、FZ1の場合は3Lと区切りのいい値になってますので、画像のようなジョウゴを使っても問題ありません。
このようなジョウゴであれば、パーツクリーナーで吹き付けてキッチンペーパーで拭けば簡単に洗えるので便利です。
1Lあたりの価格が断然安くなる4L缶を購入した場合は、ちょっと注ぎ方にコツがあるのでどんな感じにジョッキに入れるか動画に撮影したので参考にしてください。
万が一こぼした際に清掃をスムーズに行えるよう、はじめはキッチンペーパーなどを地面に敷いておくのがいいかもしれませんね!
オイルを入れた直後にオイル窓で確認した画像になります。
新品のオイルなので透明で非常に綺麗ですね。5,000km走ったオイルの色とは大違いです笑。
画像ではオイルレベルがハイを超えていますが、これはオイルを入れた直後だからです。
エンジンを始動してオイルが行き渡ったら真ん中に落ち着きます。
エンジンを始動し、オイル漏れが無いかチェックする
再びエンジンを始動し、数分間暖機し、オイル漏れが無いか点検します。
基本的にオイル漏れが起こるのは2か所、ドレンボルトとオイルフィルターの部分ですね。
この2か所以外に漏れがある場合はエンジンのガスケットの問題ですので、バイク屋に修理出すことになるでしょう。
まとめ:エンジンオイルは自分でする整備の第一歩!
というわけで、エンジンオイル交換の手順を解説しました。
特に、廃油処理についてはしっかり行ってもらいたいものです。
たまにインターネットで廃油を垂れ流して炎上しているライダーを見かけますが、これを読んでいる人は環境に優しいライダーであってほしいと願います。
後は、トルク管理はどの部分を整備するにも基本ですので、こういう簡単なオイル交換から意識するのが良いと思います。
素人こそ、しっかりとした整備をするのを心掛けるのが、結果安全だと思います。
プロの感覚は頼りになりますが、素人の感覚ほど怖いものはありませんからね。
参考になれば幸いです。
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